GOR工法 概 要

 従来技術である植生基材に用いられる緑化基盤は、堆肥化施設においてバーク堆肥やピートモス等を混合し成熟させた人工的な緑化基盤材を使用します。

そこで、再生資源の有効活用として緑化基盤材に伐採木や伐根材をチップ化しただけで使用するこは得策ではありません。すなわち、フェノール酸、タンニン酸等の 「植物生育への阻害物質」が 含まれているからです。したがって、生育阻害物質を緩和させて植物が生育できる環境を造る必要があります。よって、発生木材を利用したチップ工法では発生材を堆肥化させる工程や堆肥化設備により基盤材の熟成を行った後に法面に使用するのが一般的でした。    

  しかしながら、堆肥化施設や場所及び期間を要することや、特殊な設備を必要とするため従来技術より割高となり、従来技術に取って代わるものとはなっていないのが現状です。
 この課題を解決するため開発したのが土壌有用微生物利用して生チップのまま法面に導入る手法です。森林発生木材に有用土壌微生物群を多く含んだ緑化補助材を添加することにより植物が生育しやすい環境を造ることができます。 
 この土壌微生物(好気性細菌(バチルス属細菌群)、放線菌、酵母菌群)の効果により、導入 された植物が生育しやすい森林土壌に近い状態に造成することができます。
また、微生物の活性化を図る手段としてゼオライトを活用しています。 

森林土壌微生物

好気性細菌(バチルス属細菌群)

好気性有胞子桿菌で芽胞を形成し熱に対して耐久性を示す。

40~50℃で生育し、タンパク質の分解力、デンプンの糖化

力、脂肪分解力がともに強力でセルロースをも分解する事

が出来る。土を団粒状化させる働きもある。この様な能力

は、土壌中の有機物効率良く分解し植物が吸収しやすい形

へと変換する。また、土壌の団粒状化も促進させ、さらに

バチルス属菌は土壌中の難溶化リンを可溶化させ植物に供

給し、植物の生育を促進する。


放線菌

主に土壌中に生息する原核微生物で、 細胞の構造や大きさは

菌類と似ているが、糸状菌(カビ)のように放射状に菌糸が

生育し、その先端に様々な形の胞子を形成する。 生態系にお

いては、落葉などの有機物の分解や物質循環に関わる分解者

として大きな役割を果たす。 また放線菌は、植物の生育に必

要とする窒素を空気中から固定する能力を持っており、植物

の生長に必要な窒素源として役立っている。


酵母菌群

真核で単細胞の微生物で、外部の有機物を分解吸収すること

栄養としている。酵母菌は土壌の有機物などを発酵させて

植物に有用な物質(生理活性物質)に変える働きを持ち、作

り出された生理活性物質は、植物根や細胞の分裂の活性化や

乳酸菌、好気性細菌(バチルス属細菌群)などの有用微生物

の増殖促進に働いている。


土壌微生物の活性化

天然ゼオライト

 ゼオライトは網目構造の細孔を通じて分子を空洞または孔路内に吸着するが、この細孔は通常オングストロームの均一径を もつため、いわゆる分子ふるい効果を生じ、分子がこの孔経より小さい分子しか吸着しない。これがゼオライトのもっとも大きい特徴であり、微生物の住処として特に優れている。
   天然ゼオライトは西日本では唯一、島根県大田市のみで産出・商品化されている島根の貴重な天然資源である。                                                 適度な保水性・通気性、排水性を持ち、土壌が嫌気状態(酸素不足)になるのを防ぎ植物の根腐れ防止に役立つ。塩基置換容量(CEC)が高く、地力を高め肥料分の流出を防ぎ長期間肥料効果を持続し緑化植物の健全な発育を促す。また、有機物の分解で発生する悪臭(主としてアンモニア臭)を吸着して悪臭防止の役割を担う。また、土壌の酸度調整材としても役立つ。ゼオライトの表面の凹凸によって形成される微細な隙間は、土壌微生物の住処となり土壌微生物の活動を盛んにして、広葉樹の分解、未熟堆肥の分解を促進し、緑化植物に必要な硝酸態窒素を供給する。遠赤外線効果(赤外線放射率は、通常5~9μm範囲内で0.95以上)を有することから、地温の極度な低下を防止して地温を一定の温度に保温維持し、冬場において植物の育成を助ける。                                                                         

 


Hrソイル工法 概要